残業に架ける橋
月末付近は忙しい。
分かりきってるのに、いつまでたっても慣れない。
外回りを終えて、帰る途中にコンビニへ寄る。
お前だけだよ私の味方。
あっという間に飲んでしまった。
思い込みでも良い。
いま、今日、これから、数時間を乗り越えたいんだよ。
仕事に取り掛かる。
脳味噌の方向が揃って、視野が狭くなり、意識が集中する。
そんな感じがするんだよね。
(そんな成分は含まれていない)
先に帰る上司を横目に、黙々と仕事を続ける。
沖縄での楽しかった時間が、すでに遠い昔のよう…
そんな事を思っていると、客からの電話。
(大体、時間外にかかってくる電話って、悪い話だよねー)
などと思いつつ電話に出る。
内容はリスケのお願い。
「お前…」と声に出そうになるも。
「はい!分かりました!問題無いですよ」と素早く回答。
だって社畜だもの。
(何回目だこのリスケ…)
スケジュールをねじ込むために、別の予定を動かす。
それを繰り返す。
賽の河原で、せっかく積んだ石を鬼に崩される気分を味わう。
なんだかんだあったけど、なんとか仕事をまとめて終了。
鬱々とした気分で「帰るよ…」と妻に電話。
元気な声で「待ってるよー」と妻。
家に着くと、妻が「お帰り!」と笑顔で迎えてくれる。
用意されていた肉じゃがと、煮玉子をツマミにして晩酌。
食べ終わる頃には、気分が晴れてくる。
あれだけ気分が落ち込んでいたのに。
自分って、単純だな…。